ゆくへなく月にこころのすみすみて果はいかにかならむとすらむ 西行 行く先が定まらないまま月を眺めれば、月光に心の内を隅々まで照らされていくようだ。このまま自分はどうなるのだろうか。 西行法師は […]
「2024年」の記事一覧
【今日の短歌】焼きたてのチーズケーキが息をする鉄の型より外されるとき(山本夏子)
「息をする」とは、すなわち“解放”の象徴です。鉄の型にしっかりと包まれていたチーズケーキが、その束縛から解き放たれ、まるで自分自身を表現し始めるような瞬間が描かれています。この表現は、単なる製菓の工程を超え […]
【今日の短歌】美しき球の透視をゆめむべくあぢさゐの花あまた咲きたり(葛原妙子)
画像としては薄曇りが一番美しく、雨にしっとりと濡れるのが似合うのが紫陽花だと思っています。晴天に咲く紫陽花もまた良し。色のコントラストが映えて心奪われます。いよいよ紫陽花の季節が到来しましたね。   […]
【今日の短歌】香の高き薔薇の名はケアレス・ラブといふ二つくらゐは誰にもあらむ(米川千嘉子)
自分の中で三大憧れの薔薇というのがあって、一つ目はトマス・ハーディの「日陰者ジュード」という小説にちなんだ「ジュード・ジ・オブスキュア」、2つ目がローズメイカーという映画に登場する「イパネマの娘」、そして掲 […]
【今日の短歌】若竹の伸びゆくごとくこども達よ真直に伸ばせ身をたましひを(若山牧水)
待ちわびた筍がやっと出てきたと思ったら、そのまま少しでも放っておくとどんどん背丈が伸びて、そのうち皮を脱ぎだして、そこから先はもうあっという間に周りの竹と背丈が変わらなくなって・・・。竹の成長というのは本当 […]
【今日の短歌】ヒメジオンとハルジオンの違いをさりげなく聞けばたちまち機嫌をなおす (永田和宏)
表情がちょっと暗かったり、もしかしてご機嫌斜めなのかなとか感じたときに、相手の好きそうな話題を振ってみるってありますね。また逆もしかりで、「この前、ライブ行ってきたんでしょ?どうだった?」なんて言われようも […]
【今日の短歌】生れは甲州鶯宿峠に立っているなんじゃもんじゃの股からですよ(山崎方代)
「わたくし、生まれも育ちも東京葛飾柴又・・・」寅さんの口上みたいな一首だけど、なんじゃもんじゃの股からなんてなかなか出てこない発想。なんじゃもんじゃといえばヒトツバタゴを指すことが多いですが、その語源は「こ […]
【今日の短歌】いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひめるかな (伊勢大輔)
こちらの地方ではソメイヨシノはすっかり散ってしまいましたが、八重桜が綺麗に咲いています。遠くからだとポンポンみたいな丸っこいフォルムが可愛らしくて、近くで見るとした八重の花弁がこんなにも美しいことに毎回ㇵッ […]
【今日の短歌】いざ子ども山べにゆかむ桜見に明日ともいはば散りもこそせめ (良寛禅師)
いざ子ども山べにゆかむ桜見に明日ともいはば散りもこそせめ さぁ、子供たち。山へ桜を見に行こう。明日などと言っているうちに散ってしまうから。 今朝は警報級との予報だった桜散らしの雨。午後になって […]