重度の自閉症患者である著書の東田直樹さんが、自閉症患者の視点からその疑問に答える形で、自閉症患者が何を考え、どのような物事の捉え方しているのかを解説しています。

一見、不可解に思える行動の裏にある彼らなりの理屈や理由、自己表現の手段がわからなかったり上手くいかないことへ戸惑いや不安苛立ち、脳の機能障害によって引き起こされる突発的な衝動が抑えられないとはどういうことなのか。

読んでいくと、特に“感覚的な部分”では、まるでロールプレイングゲームの中に迷い込んで実際に体現しているかのような、それくらい臨場感のあるリアルな表現されています。

これは、東田直樹著「自閉症の僕が跳びはねる理由」を読んだとき、読書日記として私が書いたものだ。※全文はこちら

 

自閉症の忠さんと、占い師をしながら息子を支える母親の珠子さん。先日「梅切らぬバカ」を観てきたのだが、自閉症の忠さんの場合はどうなのだろうと考えながら観ていた。融通のきかない忠さんの慣習にも、きっと忠さんなりのの理屈や理由、物事の捉え方があるはずだ。

 

木の剪定でいうところの切るべきか切らざるべきか。口で言うほど簡単なことではないけど、言動だけではなく「なぜ」を考えて寄り添うことで、見えてくるものがあるかもしれない。気持ちの面で、ほんの少し寛容になれなれるのかもしれない。そんなことを思った。

 

あと施設の事務員をやっていたこともあり、忠さんと珠子さんの親子愛はもちろん、グルーブホームの支援員さんが印象的だった。地域の人にどれだけ嫌味を言われようがきちんと挨拶をし、平静を保っている彼がふとした時に見せるやるせない表情に感情移入し、これまで彼がグッと堪えてきたものを想像しながら何とも切ない気持ちになった。

 

日常の一部を切り抜いているところにリアリティを感じた。現実っておそらくこういうものなのだろう。