連載40周年、200巻発売達成という、とんでもない記録を打ち立て、惜しまれつつ最終回を迎えた「こち亀」こと「こちら葛飾区亀有公園前派出所」

 

本書はその「こち亀」が連載30周年のとき、「日本推理作家協会」が設立60周年を迎え、それを記念して出版されたノベライズ本です。

 

日本推理作家教会に所属している、7名の作家さんからの寄稿によって構成されています。その7名の作家さんとは、大沢在昌氏、石田衣良氏、今野敏氏、柴田よしき氏、京極夏彦氏、逢坂剛氏、東野圭吾氏。

 

こち亀の主人公といえば、言わずと知られた両さんこと両津勘吉。最大の特徴は、四角い顔に極太の繋がった眉毛。がっちりとした体格で運動神経は抜群。無類のプラモデル好きで、無鉄砲でハチャメチャで豪快すぎる男・・・それが両さん。

 

当然のことながら作家さんによって、文体はもとより作品のカラーは変わるわけですが、両さんの登場のさせ方もそれぞれ個性がありアプローチの仕方が違っていたのが面白いなぁと思いました。

 

ただ、両さん本人が主人公というより、第三者の視点から描かれた両さん像といったところはほぼ共通していました。唯一、両さんが主人公なのは、東野圭吾氏の作品。だからというわけではないけど、両さん像を含め、より原作のイメージに近いのは、個人的には東野圭吾氏かな。

 

 

各作品ごと、ちょっとハードボイルドだったり、策士だったり、イメージ通りハチャメチャだったり、正義感にあふれていたり・・・いろんな顔を持つ両さんがそこにはいました。

 

大沢在昌氏の「新宿鮫」や、石田衣良氏の「池袋ウェストゲートパーク」の登場人物と、両さんとの絡みも見どころのひとつ。そちらを読んでいれば、より楽しめるかと思います。