映画化にもなった代表作「不夜城」で一躍脚光をあびた馳星周氏。

馳星周作品は以前から好きだったのですが、興味を持ったきっかけは、当時勤務していた会社が購読していた新聞に「マンゴー・レイン」が掲載されていていたからです。

 

何気なく読み始めたのですが、そのとき素直に思ったのが、この人すごい文章書くなぁ・・・でした。

 

その後、いくつか馳星周作品を読んだのですが、共通していえるのは、「ドラッグ」「欲望」「性」「金」・・・人間の孤独、弱さ、脆さが浮き彫りになり、どれも救いようがないほどドロドロして「破滅(クラッシュ)」へと向かっていきます。

 

ハッキリ言ってかな~りエグイです。(笑)それに、ぶっちゃけ性描写もオブラート一切なしでかなり過激です。なので、好き嫌いはハッキリするかもしれません。

 

そんなドロドロしてスリリングなストーリー展開は非現実的とも思えるのですが巧みな心理描写が一歩間違えればありゆるかもしれないと思わせるリアリティーを持たせてくれます。そこが実に巧妙。

 

あと、文体のスピード感が好きです。シンプルでヘンな回りくどさがなくストレート。すんなりと入ってくるのが性に合っていて心地いいのです。

 

 

さて、今回読んだ「クラッシュ」ですが、「ストリートギャル」「ギャングスター」「溝鼠」「スリップ」「ジャンク」 「土下座」 「マギーズ・キッチン」「クラッシュ」 の8編で構成された短編集です。

 

これはあくまでも個人の感想ですけど、馳星周氏の世界観を堪能するなら、やっぱり「夜光虫」や「漂流街」「雪月夜」などの長編の方がいいなぁと思いました。主人公の屈折具合はどれも相変わらずでしたけどね。(笑)