いきなり大胆なタイトルですが、早くも万葉集特集の第二回目です。

 

万葉集が作られたのは奈良時代末期ですが、その時代は一夫一婦ではなかったし、なんていうか性に対して奔放でした。そんな時代の背景もあってか、中にはえっ⁈とビックリするような大胆な歌が詠まれていて、今回ご紹介するのはまさにそんな短歌のひとつ。

 

作者は、前回の「浦島子うらのしまこ伝説」の記事に登場した高橋虫麻呂です。

 

・・・とその前に、「歌垣」というのをご存じでしょうか?「歌垣」とは、多数の男女が特定の日に、特定の場所に集まって、食事や歌をなどを楽しんだあとに性的開放をする慣習のことであり・・・ぶっちゃけ乱交パーティーみたいなことが大規模に行われていたのです。

 

「嬥歌」かがいなどとも呼ばれており、全国的にも名の通った筑波山の歌垣は春秋2回の行なわれていました。

 

で、そのときに詠まれたのがこんな歌。

 

鷲の住む  筑波の山の  裳羽服津もはきつの  その津の上に
率ひて  娘子壮士の  行き集ひ  かがふかがひに
人妻に  我も交らむ  我が妻に  人も言問へ
この山を  うしはく神の  昔より  禁めぬわざぞ
今日のみは  めぐしもな見そ  事も咎むな

鷲が住む筑波の山の裳羽服津の津の辺りで、集まってきた若い男女が歌い踊る夜には私も人妻に交わろう。私の妻にも誰か言いより交わればよい。この山を治めている神様も昔から許していることだ。今日だけは哀れと思ってくれるな、咎めてくれるな。

 

〈反歌〉

男神に 雲立ち上り しぐれ降り 濡れ通るとも 我れ帰らめや
男峰の上に雲が立ち上り、時雨がふってずぶ濡れになろうとも帰る気はない。

 

つまり・・・

 

オレは人妻とヤッちゃうから、誰かオレの嫁さんを口説いてヤッちゃえよ。山の神様も昔から許してくれていることだしさ。

 

・・・と、公然と和歌にして詠んでいるわけで、歌垣の性に対する奔放さがよくおわかりいただけるかと思います。そんなこと言ってしまっていいの⁈と思わずギョッとしちゃいますが、妻のほうもそのつもりで参加しちゃっているわけだからね。(;^ω^)

 

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万葉集には、歌垣にまつわるこんな一首もあります。

 

住吉の 小集楽に出でて 現にも おの妻すらを 鏡と見つも (詠み人知らず)
住吉の小集楽(水辺で行う歌垣の一種)に出かけてきたがまさに夢のような現実だ。わが妻ながら鏡のように美しい。

 

歌垣に参加しようとしているとある夫婦がいて、当時は通い婚なのでお互い現地待ち合わせていました。それこそ夫の方は「私も人妻に交わろう。私の妻にも誰か言いより交わればよい」と意気揚々と出かけたものの、いつもとは打って変わって着飾った妻を見かけてその美しさに感嘆して大いにのろけたのです。

 

ただそう思っていたのは夫だけだったみたいで、厚化粧した派手な装いは傍から見ればずいぶん滑稽だったそうな。(^^;)

 

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・・・というわけで、万葉集特集の第二回目は「歌垣」にまつわる和歌を紹介しました。