ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき
生きながらえば今のつらさを懐かしむようになるのだろうか。あんなにつらかった過去も今となっては恋しく思うのだから。

 

清輔の父・藤原顕輔は、歌人として崇徳院より『詞花集』の選者を任されていました。息子の清輔も歌人としての評価は高く、二条院より「続詞花集」の選者を命じられます。しかし、二条院の崩御により『続詞花集』は勅撰和歌集として認められませんでした。実父・藤原顕輔との折り合いが悪かったりと、苦労も多かったようです。

 

掲出歌は、中国の詩人・白楽天の詩集「白氏文集」の「老色日上面   歓情日去心   今既不如昔   後当不如今」が原典になっているのではという説もあります。昇進することができずに嘆いていた、友人の藤原実房を慰めるために贈られたとされています。

 

 

時間薬とはよく言うけど、過ぎてみればそんなこともあったなぁと懐かんだり・・・ということはよくありますね。時の流れはとても残酷だけど、時間の経過と共に癒される痛みもあって・・・。だから人は生きていけるのかもしれません。

 

コロナ過という今のこの状況も、「あの頃は大変だったね」と語り合える未来を信じるからこそ乗り切ろうと思えます。