風さそふ 花よりもなほ 我はまた 春の名残を いかにとやせん  浅野内匠頭
散る花よりもさらに急ぎ散ろうとしている私の、この春の心残りをどうしたものか。

12月14日といえば、「忠臣蔵」でおなじみの赤穂浪士討ち入りの日。・・・ということで、赤穂浪士四十七士の 辞世を集めてみました。

忠臣蔵のあらすじ

江戸城の松の廊下にて、高家肝煎・吉良義央上野介が刃傷される事件が起こります。吉良義央上野介を襲ったのは赤穂藩主・浅野内匠頭。浅野内匠頭は切腹に処せられ、一方吉良義央上野介は御咎めなしの無罪放免。そのことを不服とする家臣・大石内蔵助をはじめとする赤穂浪士四十七士が吉良邸に討ち入りを果たします。

※浅野内匠頭が吉良義央上野介を襲った理由について。浅野内匠頭が吉良義央上野介の許可なく餐応予算を削り、そのことを快く思わなかった吉良義央上野介からきつく当たられていたなど諸説あります。

赤穂浪士四十七士、 辞世

大石内蔵助良雄 享年45
あら楽し   思いははるる   身は捨つる浮世の月に    かかる雲なし
ああなんて楽しい。思いは実に晴れやかだ。この身が果てるこのとき月にひとつも雲がかかってないかのように。


大石主税良金 享年16
あふ時は かたりつくすと 思へども 別れとなれば のこる言の葉
会っている時は語り尽くしたと思っていたが、いざ別れとなると言葉を残してきてしまったような気がしてしまう。


原惣右衛門元辰 享年56
君がため 思ひぞ積もる 白雪を 散らすは今朝の 嶺の松風


片岡源五右衛門高房 享年37


堀部弥兵衛金丸 享年77

忠孝に 命をたつは 武士の道 やたけ心の 名をのこしてん


堀部安兵衛武庸 享年34
梓弓 ためしにも引け 武士の 道は迷はぬ 跡と思はば
武士の道を貫いて迷うことなく死んでいく。この精神を後世に継いでいってほしい。


吉田忠左衛門兼亮 享年64
かねてより 君と母とに 知らせんと 人より急ぐ 死出の山路


吉田沢右衛門兼貞 享年29


近松勘六行重 享年34


間瀬久太夫正明 享年63
雪とけて 心に叶ふ あした哉


間瀬孫九郎正辰 享年23


赤埴源蔵重賢 享年35


潮田又之丞高教 享年35
もののふの 道とばかりに 一筋に 思いたちぬる 死出の旅路


冨森助右衛門正因 享年34
先立ちし 人もありけりけふの日を 旅の旅路の 思ひ出にして


不破数右衛門正種 享年34


岡野金右衛門包秀 享年24
その匂い 雪の下の 野梅かな


小野寺十内秀和 享年61
今ははや 言の葉草も なかりけり 何のためとて露結ぶらむ
忘れめや 百に余れる 年を経て 事へし代々の君がなさけを


小野寺幸右衛門秀富 享年28
今朝も はやいふ言の葉も なかりけり なにのためとて 露むすぶらん


木村岡右衛門貞行 享年46
思いきや われ武士の 道ならで かかる御法の 縁にあうとは


奥田孫太夫重盛 享年57


奥田貞右衛門行高 享年26


早水藤左衛門満尭 享年40
地水火風 空のうちより いでし身の たどりて帰る 本の住家に


矢田五郎右衛門助武 享年29


大石瀬左衛門信清 享年27


磯貝十郎左衛門正久 享年25
若水の 心そむかぬ 影もりかな


間喜兵衛光延 享年69
草枕 むすび仮寝の 夢さめて 常世にかえる 春のあけぼの


間十次郎光興 享年26
終にその 待つにぞ露の 玉の緒の けふ絶えて行く 死出の山道


中村勘助正辰 享年46
梅が香や日足を伝ふ大書院


千馬三郎兵衛光忠 享年51


菅谷半之丞政利 享年44


村松喜兵衛秀直 享年62
命にも 易えるひとつを 失わば 逃げ隠れても 此れを遁れん


村松三太夫高直 享年27
極楽を 断りなしに 通らばや 弥陀諸共に 四十八人


倉橋伝助武幸 享年34


岡嶋八十右衛門常樹 享年38


大高源五忠雄 享年32
梅で香む 茶屋もあるべし 死出の山


矢頭右衛門七教兼 享年18


勝田新左衛門武尭 享年24


武林唯七隆重 享年32
仕合や 死出の山路は 花ざかり
三十年来一夢中 捨身取義夢尚同 双親臥病故郷在 取義捨恩夢共空


前原伊助宗房 享年40
春来んと さしもしらじな 年月の ふりゆくものは 人の白髪


貝賀弥左衛門友信 享年54


杉野十平次次房 享年28


間新六郎光風 享年62
命にも 易えるひとつを 失わば 逃げ隠れても 此れを遁れん


神崎与五郎則休 享年38
梓弓 春近ければ 小手の上の 花をも雪の ふぶきとや見ん 
余の星はよそ目づかひや天の川


三村次郎左衛門包常 享年37


横川勘平宗俊 享年37
まてしばし 死出の遅速は あらんとも まつさきかけて 道しるべせむ


茅野和助常成 享年37
天地の 外にあらじな 千種だに もと咲く野辺に 枯ると思へば


寺坂吉右衛門信行 享年83
咲くときは 花の数にも 入らぬとも 散るには同じ 山桜かな

 

 

※まだ一部しか現代語訳がありませんが、また徐々に追加していくつもりです。