筑波嶺の新桑繭の衣はあれど君が御衣しあやに着欲しも
筑波嶺の新桑繭で作られた上等な衣はあっても、それよりもあなた様の衣を着てみたいものです。

 

新桑繭とは、春に孵化した蚕 (春蚕)のこと。瑞々しい若葉を食べて育った春蚕の繭から採取される絹糸は極細で、夏蚕や秋蚕よりも上等だとされています。

 

その昔、男女が共寝するときは、互い着物を重ねたその上というのが一般的でした。新桑繭の衣はそれは素晴らしいのだけれど、それよりもあなたの衣を纏ってみたいというわけです。それがどういう意味を成すのかは言わずもなが。想像に難くないかと思います。

 

作者不詳ではあるけど、新桑繭の衣を持っているくらいだからそれなりの身分の方が詠まれたのだろうと考えられます。少し穿った見方をしてしまえば、新桑繭のような高貴なお方よりもあなたがいい、あるいはそのような特定の相手がいるものの、それよりもやはりあなたのことを求めてしまいますみたいなね。当時の時代背景からすると、そんな解釈もアリだったりするのかなと思ったりもします。

 

わが愛知県・豊橋市は「蚕都豊橋」と言われるほど養蚕業が盛んだった時代がありました。そういえば祖母の実家が蚕を飼っていたらしく、お蚕さんの食欲は驚くほど旺盛であげてもあげても桑の葉をすぐに食べつくしてしまうと言っていたような。おぼろげながらそんな記憶が蘇ってきました。そんな今日は「シルクロードの日」

 

 

「シルクロード 絲綢之路」

この有名な曲を生み出した “世界の喜多郎 (KITARO)” は豊橋市出身。