草彅剛さん主演・映画「ミッドナイトスワン」を鑑賞。

 

欲しいものすべて手に入っている人なんていない。誰もが何かしらの欠如を抱えながら生きている。人によっては、どんなに望んでも本人の努力ではどうしようもない類のものであって、それを抱えていくことを宿命として受け入れなければならないこともあるだろう。その苦しみは本人にしかわからない。

 

形としてそれらしいことをしても、どうしても超えられない一線があるということ。どうしようもなく行き場のないもがきと孤独。草彅さん演じる凪沙は、親から虐待されて心を閉ざしていた一果と出会い、一層その痛みを戦うことになる。愛情が芽生えはじめたからこその痛みだ。その想いはただただ純真で美しい。

 

圧倒的な存在感で、凪沙の葛藤を見事に演じ切った草彅さんはさすがだった。また、一果の心境の変化を、顔つきひとつで丁寧に表現していた服部樹咲さんの技量も素晴らしかった。