この短歌で思い浮かぶのは、小林聡美さん主演の映画「かもめ食堂」の主人公・サチエさん。シナモンロールといえば「かもめ食堂」

 

かもめ食堂は、フィンランドのヘルシンキで食堂を開ているサチエやサチエを取り巻く人々の物語。その中でサチエが、ひょんなことから食堂を手伝うことになったミドリと一緒にシナモンロールを焼き上げるシーンがあります。小柄のサチエを揶揄して「こども食堂」と敬遠していた地元の人たちも、その美味しそうな匂いに誘われて店の中へ。

 

店はいつも閑古鳥状態でしたが、ウケを狙うよりも誠実に美味しいものを提供するという、サチエの信念が実を結び始めた瞬間でした。客足が伸びないことを嘆くことより、仕方ないことは仕方ないとして、淡々とやるべきことをするサチエの姿とどこか重なるのです。

 

思うように受け入れられなかったりすると、焦りたくもなるし何かのせいにしてしまいがちだけど、できることから丁寧に、着実に、信頼関係を築いていくしかないんですよね。サチエたちがシナモンロールを焼き上げたように。「仕方ないことを仕方なく思う」には、諦めよりもブレずに前を向こうとするそんな芯の強さを感じます。

 

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シナモンといえば秋のイメージがあるけど、季節に関係なく紅茶を入れたときなんかにパパッてかけたりしています。もうなくなってしまったんだけど、お気に入りのカフェがあって、そこのケーキや飲み物にシナモンがよく使われていたんです。もともと好きだったけど、そこからさらにシナモンの香りが大好きになって、取り入れるようになりました。

 

「春を練り」があることによって、甘いシナモンの香りにまざって桜の香りがふわっと浮き立つようで、やっぱり春ともいい取り合わせなんだなと思います。あと調べてわかったんだけど、シナモンロールってフィンランド語で「コルヴァプースティ(korvapuusti)」「ビンタされた耳」とか「つぶれた耳」という意味なんだって。