やどりせし人のかたみか藤袴わすられがたき香ににほいつつ 紀貫之
我が家に泊まっていった人の形見かとも思う。藤袴の忘れがたい香りが漂っていれば。

 

秋の七草のひとつである藤袴。藤袴あるところにアサギマダラ。秋に日本に渡ってくる蝶のアサギマダラが好む花として知られており、根強く支持されています。

 

また香り高いことから「香水蘭」「蘭草」「香草」「王者香」「國香」といった別名があり、沐浴したり(蘭湯)、匂い袋にしたりと古くから珍重されてきました。咲いているそのままの状態だと香りはしないけど、葉や花などを揉むといい香りがし、乾燥させると桜と同じクマリンという成分によって桜餅のような香りがすると言われています。

 

花言葉は「ためらい」「躊躇」「遅れ」「あの日を思い出す」

 

「ためらい」の花言葉のように少しずつ花を咲かせ、香りも乾燥することによってはじめて真価が発揮されるとはずいぶんと淑やか。能ある鷹は爪を隠すじゃないけど、ひけらかさないからこそ芯にある凄さやありがたみに気付かされるというかね。本当に能力がある人ってそういうタイプが多いと思うんだけど、例えるなら藤袴はまさにそんな感じ。ここぞとばかりに華やかに香って、周りをぐいぐい引っ張っていく花形スターの金木犀とはまた違った魅力があります。

 

どちらも大好きで、秋になると無性に会いたくなる花。