白抜きといえば、背景色から文字色である白を抜き取る手法。新聞や雑誌の活字で目にすれば、強烈なインパクトを残します。

 

物事を達成するには、時に何物にも染まらない白抜きとなって自分を貫くことも必要です。そうであれというのは、そういう芯を持てということだと私は思っていて、初心を思い出させてくれる一首です。

 

 

他にも掲出歌を好きな理由はいくつかありますが、まず白抜きの活字と、新緑の中で白抜きになっている自分を視覚的にも対比させているところ。新緑をバックに白抜きとなった「新緑をゆく我」が凜と歩いている画がすぐに浮かんできました。緑にイメージするのは、パワーの力強さではなく柳のようなしなやかさ。

 

あと、新年度ならではの緊張感を「しんしん」とした絶妙な言葉選び。新緑という爽やかな取り合わせに、「しんしん」はなかなか出てこないと思うんですよね。これがものすごく効いていて、「白抜きの文字のごとあれ」を上手く引き立てていると感じます。

 

「白抜きの文字のごとあれ」

 

今、誰もが不安の中を過ごしています。いろいろある中で自分を保つには、「負」に振り回されずに為すべきことをする「白抜き」の精神が必要なのかもしれません。

 

 

 

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