生きるとはゆるされること梔子くちなしの枯れゆくようにわれは病みたり 江戸雪

 

手術日までの時間は長くも短くも感じました。あと何日・・・と指折り数えながら、季節の移り変わりを肌で感じて。私も同じように手術を受けたのが秋だったし、気持ちがよくわかります。

 

思ったほどの不安や恐怖はないと感じていたけど、結局は緊張していたんでしょうかね。ひんやりとした重苦しさがのっかっている感じで、でもそれを誰かに言ったところでどうにかなるものでもないし。

 

たぶん江戸さんも、何ともいえない感覚を秘かに自分で処理しながら、表向きは淡々と日々を過ごしていたのではないかと思います。何でもないフリをしながら。

 

 

重苦しさを抱えることは、それは別に特別なことではなくて。形は違えど、誰しも見えないところで、そんな感情と戦っていたりするんじゃないのかなと思うんです。平常よりも少し冷んやりとしたものを抱えて。

 

生きるというのはそういうことで、なかなかしんどいことでもありますね。だから、日常とは別のところで、完璧に分かち合えない隙間を埋めるような何かが欲しくなります。そんな言葉を紡ぎたくて、私は短歌をやっています。

 

そしてもうひとつ大切なこと。重苦しさの分、たくさんの人の手で支えられてきました。だから今、生きています。