ほととぎす鳴くや五月のあやめぐさあやめも知らぬ恋もするかな 詠み人知らず
ホトトギスが鳴き、五月ともなればあやめぐさも咲くが、物事の筋や分別のつかない盲目的な恋をしてしまったものだよ

 

暗がりなどで物がはっきりせずに区別がつきにくい様を「あやめ(文目)も分かず」というような言い方をしますが、物事の筋や道理の分別がつかないという意味合いでも「あやめ(文目)」という言葉は使われています。ちなみにここでの「あやめぐさ」とは、菖蒲のことです。

 

 

 

恋愛で相手に夢中になっているときって、自分でも支離滅裂でわけわかんないことしてるなと思いながらも、感情が先走って止められなかったりするよね。メンタリストdaigo さんによると、脳の判断力がチンパンジー並みに低下してしまうのだとか。恋は盲目とはよく言ったものです。

 

この時期はそんな感じで、求愛中のホトトギスが「テッペンカケタカ」とけたたましく鳴いていたりするんだけど、「夜泣き鳥」とも言われるように寝静まった頃に鳴いたりするからね。まさにあやめも知らぬといいますか、そんなホトトギスとも掛けて隙がないほど完璧に計算されつくしています。

 

故に、恋い焦がれて我を見失っているというよりも、むしろ冷静沈着で淡泊な印象を持ってしまうのですが、この手の技巧的な作品は趣とか風情を味わうほうが正解かもしれません。