かつてはバレエダンサーとしてボリショイ劇場に立ってたという父に連れられて、ボリショイ劇場を擁するバレエ・アカデミーの試験を中途から受けにきた一人の少女・ユリア。講師のガリーナに才能を見出されたはユリアは見事合格。貧困家庭のユリアとは違い、モスクワの裕福な家庭で育ったカリーナとは良きライバルで、プリマとしてボリショイ劇場の舞台に立つことを夢見て切磋琢磨する日々。

 

言わずもなが「二人のスワン」とはユリアとカリーナのことを指しているわけだけど、二人があこがれる相手役のアントワーヌを含めて、それぞれ錚々たる経歴を持つダンサーさんが演じているのが見所のひとつ。

ユリア役 : マルガリータ・シモノヴァ  (リトアニア出身で数々の国際コンテスト優勝後、ポーランド国立バレエ団の現役ダンサー 
カリーナ役 : アンナ・イサエヴァ  (ボリショイ・アカデミーを優秀な成績で卒業後、ロシア・ナショナル・バレエ劇場に所属) 
アントワーヌニコラ・ル・リッシュ  (元パリ・オペラ座のエトワールで、英国ロイヤル・バレエ団やボリショイ・バレエ団で活躍) 
 ※公式サイトより

 

他にも大勢ダンサーさんが出てくるけど、皆スラッと手足が長くて立ち姿が美しい。

 

 

時系列が前後するんだけど、そのときの場面の切り替わりに間が一切なく、最初は主役の女の子と主演の女性が同一人物を演じていることに気づかずにあれっ⁈と戸惑った。観ているうちに慣れてはきたけど、全体的に場面転換が唐突なので、あらすじがごっちゃになりやすく、ボケッとしてるとついていくのが少し大変。

 

優雅に泳ぐ白鳥が水面下で足をバタつかるように血の滲むような努力を重ね、熾烈なポジション争いの中で悔しい思いをしたり、挫折を味わったり。華やかな舞台の裏側では、そりゃいろいろあるんだろうなぁと想像する。御多分に洩れずユリアとカリーナもそうなんだけど、互いにライバルが諸事情によって主役を諦めたり何かを失ったりしてポジションが与えらているところに、両者の心境としてはさらに複雑で葛藤が生まれる。

 

ボリショイ劇場の舞台上からの景色は圧巻。なかなか見られない光景だと思うので、これだけでも一見の価値はあると思う。

 

 

※この記事について

ウクライナやロシア関連の芸術文化に触れてみることで、両国のことをより深く知っていけたらという趣旨で書いています。 ウクライナまたはロシアのどちらかを肩入れするものではないし、国際情勢に対する個人的な見解を示すものでもないことをご理解ください。